こんにちは。グロースコンパスのイシマキです。
中小企業や小規模事業者は、日々さまざまな課題に直面しています。特に、販路開拓や集客、業務のデジタル化、生産性向上といった分野では、競争力を高めるための施策が求められます。
しかし、資金の制約から十分な対策を講じることが難しいケースも少なくありません。こうした課題に対応するためには、国や自治体が提供する補助金・助成金を活用するのが有効な手段となります。
本記事では、代表的な課題ごとに活用可能な補助金を紹介し、具体的な活用事例を交えながら解説します。
販路開拓・集客の課題
課題
- 新規顧客の獲得が難しい
- 売上の拡大に向けたマーケティング施策が不足している
活用できる補助金
小規模事業者持続化補助金
- 補助額:最大250万円(補助率2/3、要件により3/4)
- 対象経費:広告宣伝費、Webサイト制作費、チラシ作成、展示会出展費など
活用事例
- 飲食店の新メニューPR
ある飲食店では、新しいカレーのメニューを開発しました。しかし、これまでの常連客だけでは十分な売上拡大が見込めず、新規顧客の獲得が必要でした。そこで、補助金を活用し、ポスターやチラシを作成し、SNS広告を出稿。結果として、多くの新規顧客が来店し、売上が向上しました。 - ECサイト構築で販路拡大
地域の特産品を販売する企業が、店舗販売に依存していることに課題を感じていました。補助金を活用してECサイトを立ち上げたことで、オンラインで全国の顧客に商品を提供できるようになり、売上の増加に成功しました。
業務のデジタル化・IT化
課題
- 店舗の予約や会計管理がアナログで手間がかかる
- キャッシュレス対応やDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいない
活用できる補助金
IT導入補助金
- 補助額:最大450万円(補助率1/2、枠により2/3)
- 対象経費:POSレジ、オンライン予約システム、会計ソフト導入費、キャッシュレス決済対応など
活用事例
- オンライン予約システム導入
予約管理を紙の台帳で行っていた飲食店が、補助金を活用しオンライン予約システムを導入。これにより、予約管理の手間が大幅に削減され、キャンセル率の低下や業務効率の向上につながりました。また、顧客の利便性も向上し、リピート率が上昇しました。 - キャッシュレス決済導入
小規模カフェでは、現金のみの決済を行っていましたが、訪日外国人や若年層の利用を増やすためにキャッシュレス決済を導入しました。補助金を活用することで導入コストを抑え、結果として顧客層の拡大や売上の増加に貢献しました。
生産性向上・設備投資
課題
- 効率の悪い作業が多く、業務改善が必要
- 人手不足の中で生産性を向上させたい
活用できる補助金
ものづくり補助金
- 補助額:最大4,000万円(補助率2/3または1/2)
- 対象経費:設備投資、製造プロセス改善、IoT・AI導入など
活用事例
- 製造ラインの自動化
食品工場では、手作業での包装作業がボトルネックとなっていました。補助金を活用して自動包装機を導入したことで、作業時間が短縮され、従業員の負担が軽減。生産量も向上し、収益性の向上につながりました。 - 厨房機器のアップグレード
レストランでは、調理時間が長く回転率が低いことが課題となっていました。補助金を活用して最新の調理機器を導入したことで、調理時間の短縮が実現し、結果として回転率の向上と売上増加につながりました。
新分野進出・事業転換
課題
- 既存事業の成長が鈍化しており、新しい収益源を確保したい
- 新規市場に挑戦したいが、初期投資の資金が足りない
- 競争の激化により、現在の業態では利益率が低下している
- 消費者ニーズの変化に対応するために、新たな事業モデルを模索している
活用できる補助金
事業再構築補助金
- 補助額:最大1億円(補助率1/2、枠や要件により2/3または3/4)
- 対象経費:新規事業立ち上げ、業態転換、設備投資、マーケティング費用、人材育成費用など
- 対象事業:飲食業、小売業、サービス業、製造業など幅広い分野で活用可能
活用事例
- 飲食店のテイクアウト専門業態転換
従来のレストラン営業では利益確保が難しくなったため、補助金を活用してテイクアウト専門店に転換。新たな厨房設備を導入し、デリバリー対応を強化。これにより、コロナ禍でも売上を維持し、新規顧客を開拓。 - 異業種参入の支援
サービス業を営む企業が、補助金を活用して製造業に参入。新たな設備を導入し、自社ブランド製品の開発を進めた結果、新たな収益源を確保。
業務改善・従業員の労働環境向上
課題
- 従業員の労働環境を改善したい
- 業務効率化を図り、生産性を向上させたい
- 人手不足の解消や、従業員の負担軽減を実現したい
- 最新技術を導入し、サービス品質を向上させたい
活用できる助成金
業務改善助成金
- 助成額:最大600万円(助成率3/4、要件により4/5など)
- 対象経費:業務効率化のための設備投資、機械購入、作業環境の改善、人材教育のためのシステム導入など
活用事例
- 店舗オペレーションの改善
飲食店が補助金を活用し、最新のPOSシステムを導入。オーダー管理をデジタル化し、レジ作業の時間を短縮。これにより、接客に集中できる環境を整え、顧客満足度の向上を実現。 - 厨房の作業環境改善
狭い厨房を改装し、作業動線を最適化。食材の管理システムも導入し、発注業務の効率化を実現。結果として、従業員の負担が軽減され、業務の効率が向上。 - リモートワーク環境の整備
オフィス業務を行う企業が助成金を利用して、リモートワーク環境を整備。クラウド型業務システムを導入し、テレワークの推進に成功。これにより、従業員のワークライフバランスが向上し、業務の生産性も向上。
省エネ対策・エネルギーコスト削減
課題
- 電気代やガス代の上昇が経営を圧迫している
- 環境規制への対応が求められている
- 企業の環境意識の向上が求められ、エコ対策を実施したい
- 省エネ設備を導入し、長期的なコスト削減を実現したい
活用できる補助金
省エネ補助金(省エネルギー投資促進支援事業費補助金)
- 補助額:上限5,000万円(補助率1/3~1/2)
- 対象経費:高効率設備の導入、LED照明の設置、空調設備の改善、エネルギー管理システムの導入など
活用事例
- LED照明の導入で電気代削減
小売店が店舗の照明をすべてLEDに切り替え、電気代を年間30%削減。さらに、「環境に優しい店舗」としてPRを行い、エコ意識の高い顧客層を取り込むことに成功。 - 高効率空調設備の導入
飲食店が補助金を活用して最新のエアコンを導入。エネルギー効率が向上し、夏場の電気代が大幅に削減。さらに、快適な店内環境が実現され、顧客満足度の向上にも寄与。 - 工場のエネルギー管理システム導入
製造業の企業が、省エネ補助金を活用してエネルギー管理システムを導入。リアルタイムで電力使用量を管理し、無駄な電力消費を削減。結果として、年間の電気代を20%以上削減することに成功。
どの補助金・助成金がおすすめなの?

補助金や助成金の選択に悩む経営者の方も多いかと思いますが、私のおすすめは 「活用できるものはすべて活用する」 ことです。補助金や助成金にはそれぞれ申請要件があり、要件に合致しなければ申請できません。しかし、要件を満たすものについては、できる限りすべて申請することを推奨します。
もちろん、同じ経費を複数の補助金で重複して受給することはできませんが、異なる内容であれば申請に制限はありません。事業の状況によって優先すべき課題は異なるため、優先順位をつける必要はありますが、補助金は未来への成長のための投資資金と捉え、最大限活用すべきです。
「投資なくして成長なし」
事業成長のための投資を、補助金や助成金を活用して賢く加速させましょう!
まとめ
補助金や助成金を活用することで、経営課題の解決や事業成長を加速させることが可能です。しかし、多くの企業が「申請が難しそう」「どの補助金が適しているかわからない」といった理由で活用を見送っています。
補助金にはさまざまな種類があり、それぞれ要件や対象経費が異なります。そのため、自社にとって最適な補助金を見極めることが重要ですが、情報を集めるだけでも一苦労です。また、申請には事業計画の策定や必要書類の準備が求められ、慣れていないと手間がかかることも事実です。こうしたハードルを乗り越えるために、専門家の力を借りることが有効です。補助金の活用を検討されている方は、ぜひ中小企業診断士のいる弊社にご相談ください!
弊社では、貴社の経営状況を丁寧にヒアリングし、最適な補助金の選定から申請サポートまでをワンストップでご提供いたします。さらに、補助金を活用した事業計画の立案や、経営改善のご提案も可能です。補助金を最大限活用し、事業の成長を加速させたい方は、お気軽にお問い合わせください。
最新の補助金情報は日々更新されており、適用できる補助金が増えることもあります。「この補助金が使えるかもしれない」と思ったら、まずは専門家に相談することが成功の鍵です。
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