【中小企業診断士が飲食店経営者に解説】「協調支援型特別保証制度」で広がる資金調達の可能性

本記事では、2025年3月からスタートした新しい資金調達制度「協調支援型特別保証制度」について、特に飲食業をはじめとする中小企業・小規模事業者の皆さん向けに、実務的な観点から詳しく解説いたします。

原材料費や人件費の高騰、エネルギーコストの上昇、さらには人手不足といった課題が重くのしかかる中、「資金繰りの不安をどう乗り越えるか」は、多くの経営者にとって共通の悩みです。

そんな中、新たに創設されたこの制度は、「金融機関と一緒に未来を描く」という資金調達の考え方にシフトする大きなチャンスでもあります。

「協調支援型特別保証制度」とは?

この制度の最大の特徴は、「プロパー融資(信用保証協会の保証がつかない融資)」と「保証付き融資(信用保証協会が保証をする融資)」の両方を組み合わせて使えるという点です。

なぜ新制度が必要なのか?

スーツを着た男性が考え込む様子を示した写真です

これまで多くの中小企業は、信用保証協会の保証を付けることで金融機関から融資を受けてきました。しかし、それに頼りすぎると、金融機関が「自分でリスクを取ってお金を貸す」機会が減ってしまい、経営者と金融機関の関係が「形式的なもの」になりがちです。
そこで国が打ち出したのが「協調支援型特別保証制度」。金融機関にも一定のリスクを取ってもらい、経営者と二人三脚で事業再建・事業成長に取り組んでもらう仕組みです。

制度の内容(概要)

項目 内容
保証限度額 最大2億8,000万円
保証期間 分割返済:10年以内 / 一括返済:1年以内
据置期間 運転資金:1年以内 / 設備資金等:3年以内
保証料率 0.45%~1.90%(国による補助あり)
金利 金融機関が個別に設定
対象期間 2028年3月31日まで

実質的なメリット:10倍の保証付き融資

たとえば、金融機関から100万円のプロパー融資を受けることができれば、それに連動して最大10倍の保証付き融資(1,000万円)が可能になるケースがあります。これは資金調達力を大きく引き上げるチャンスです。

飲食店など中小企業が今こそ検討すべき理由

テーブル上に並んだMERITの文字と、背後にはソファと花が見えます。メリットを表す演出がされています。
  • コロナ融資の返済本格化
    2020~2021年に受けたコロナ特別融資の返済が、すでに本格化しています。返済負担を感じながら営業している方も多いのではないでしょうか。
    この制度は、そうした既存借入の借り換えや資金繰り改善にも対応可能です。
  • 金融機関と“付き合い方”を見直すチャンス
    従来、「融資=保証協会まかせ」でやってきた中小企業にとっては、金融機関と向き合う絶好の機会。プロパー融資という“本気のつきあい”が前提になることで、金融機関との関係性も長期的・戦略的になります。

制度を活用するために必要な準備

この制度は、「誰でも簡単に借りられる」というものではありません。重要なのは、「きちんとした準備」と「事業者としての信頼」です。
以下のような準備が必要です。

  • 経営課題の整理と数値の把握
    • 売上・利益の現状と課題
    • コスト構造の見直し(原価、人件費、家賃など)
    • キャッシュフローの現状把握
  • 実現可能性の高い事業計画の策定
    • どのように売上を伸ばしていくか
    • 原価や人件費をどう抑制していくか
    • 設備投資や新メニュー開発の具体性
  • 実現可能性の高い事業計画の策定
    • 計画を説明する“対話力”
    • 数字に裏付けされた説明資料
    • 融資後のフォロー体制(PDCA)をどう構築するか

中小企業診断士としての支援内容

制度を活かすためには「金融機関が納得する計画・姿勢」が欠かせません。私たち中小企業診断士は、次のような形でサポートが可能です。

  • 融資に必要な資料作成支援
    • 実現可能性のある事業計画書
    • 資金繰り表や収支予測の作成
    • 金融機関目線でのプレゼン資料の構成
  • 金融機関との対話・交渉サポート
    • 融資面談の事前準備
    • 同席しての説明・質疑応答のサポート
    • 銀行が気にするポイントを踏まえたアドバイス
  • 融資後のフォローアップ支援
    • 計画通りに進んでいるかの定期的な確認
    • 必要に応じた事業計画の見直し
    • 経営改善のための継続支援

制度の活用は「今」がチャンス

この制度の受付期限は2028年3月末までと比較的長期ですが、今は導入初期のため、金融機関側も柔軟に対応してくれる時期です。
制度運用がこなれてくると、審査が厳しくなったり、金融機関が保守的になったりする可能性もあります。
「プロパーはうちには無理」と感じている方でも、診断士など専門家と一緒に取り組めば、意外に道は開けるものです。

まとめ:攻めの資金調達に挑戦しよう

黒板に「まとめ」と書かれた写真です。

「協調支援型特別保証制度」は、従来の資金調達に頼らない、新しいチャレンジを後押ししてくれる制度です。

飲食店経営者の皆さまにとっても、ただ耐えるだけの経営から一歩進み、「攻めの資金調達」を検討するきっかけになるかもしれません。

「金融機関とのつながりを強くしたい」

「将来に向けた投資をしたい」

「これまでの借入を整理したい」

そんな思いをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。私たち中小企業診断士が、伴走型でしっかりサポートいたします。

FAQ(よくある質問)

木製のテーブル上に貼られた黄色い付箋には、大きな疑問符が描かれています。

プロパー融資実績ゼロでも利用可能ですか?

小口でも同時実行できれば問題ありません。まずは100万円規模からスタートしましょう。

既存コロナ融資の借換えも対象になりますか?

併用または本制度を活用した借換えが可能です。詳しくは金融機関へご相談ください。

保証料補助はいつまで半額ですか?

2026年3月31日申込分までは1/2補助。以後は段階的に縮小する予定です。

DX・省人化投資にも使えますか?

人手不足対応や省力化を目的とする投資であれば対象となります。

※本サイトでは「補助金」、「助成金」、「支援金」等、知らないと損する支援制度を紹介しています。筆者の個人的な予想・見解も含みます。また、公式情報は日々更新・追加されることがありますので、申請・応募の際は最新情報を随時ご確認ください。正式・正確な情報は担当省庁等へ直接お問合せください。
中小企業診断士が補助金・助成金の申請をしっかりサポート
GrowthCompass

GrowthCompass

株式会社グロースコンパス公式ブログです。経営問題に悩む経営者のお悩みを、中小企業診断士の資格を持つ経営コンサルタントが分かりやすく解説します。

コメント

この記事へのコメントはありません。

コメントに日本語が含まれない場合は表示できません。(スパム対策) 

新着
オススメ
特集
  1. 【中小企業診断士が飲食店経営者に解説】「協調支援型特別保証制度」で広がる資金調達の可能性

  2. 知らなきゃ損!人材戦略に活かせる雇用助成金制度まとめ

  3. 【2025年最新版・経営分析】ラーメン店も美容室も過去最多の倒産──その真因と“淘汰の時代”を生き抜くヒント

  1. 【新宿区限定】来年度もやります!令和6年度「経営力強化支援事業補助金」徹底解説

  2. 【経営力強化支援事業補助金が終了】新宿区の事業者、これからどうする?令和7年の補助金活用術

  3. 【初心者向け】補助金・助成金の違い解説!お金が貰えやすい行政の支援策、教えます!

  1. 企業の成長と働きやすさを支え、補助金・助成金の活用にもつながる認定制度とは?

  2. 【初心者向け】補助金・助成金の違い解説!お金が貰えやすい行政の支援策、教えます!

  3. 【初心者必見】補助金・助成金の採択率を上げる方法を解説します!

カテゴリー

よく読まれている記事

  1. 1

    【新宿区限定】来年度もやります!令和6年度「経営力強化支援事業補助金」徹底解説

  2. 2

    【経営力強化支援事業補助金が終了】新宿区の事業者、これからどうする?令和7年の補助金活用術

  3. 3

    【初心者向け】補助金・助成金の違い解説!お金が貰えやすい行政の支援策、教えます!

カレンダー

2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

関連記事

お問い合わせはこちら